【眺墨賞】Final Fest #033

眺墨賞は,素晴らしいデザインのロゴ・タイポグラフィなどに対し敬意を表し,独自に表彰するすみながめの企画です.毎月1つの作品を選び出し,素晴らしい作品のデザインの特色を解説します.

眺墨賞_07
眺墨賞 ロゴ

第33回となる2019年7月の受賞は,Splatoon 2 Final Fest です.Splatoon 2は2017年にNintendo Switch向けに発売されたアクションシューティングゲームです.Final Fest は Splatoon 2 のオンラインイベント (フェス) で,発売から2年経過した2019年7月に開催される最後のフェスです.

Final Fest ロゴ

Final Fest のロゴは大変興味深いデザインになっています.伝統的な西洋書道であるカリグラフィーの要素と,コンピューター的なピクセルアートの要素が華麗に融合しているのです.ブラックレターのカリグラフィとピクセルアートが取り入れられているのはこのフェスのテーマが関係しています.

このフェスは,参加者が「混沌派」と「秩序派」のいずれかに所属して派閥争いをするという形のゲームになっています.そしてそれぞれの派閥のキービジュアルに,ブラックレター風カリグラフィーとピクセルアートが採用されているのです.

混沌と秩序 キービジュアル

あまり確かではありませんが,ロゴ部分について,左側はひらがなで「こんとん」と書かれていて,右側は漢字で「秩序」と書かれているでしょうか…

いずれにしても,これらのアートスタイルが混在するのはとても象徴的です.ブラックレターは中世やそれ以前に発明された文字の表現であり,ピクセルアート (特にビットマップフォント) は20世紀後半に発明された,限られた性能の計算機で文字を表現するために発明されたものです.

これらの全く異なる2つの文字のスタイルの融合として表現されている Final Fest のロゴは大変個性的です.少なくとも,初州 (すみながめの中の人です) はこれ以外に例を見たことがありません.

私が Splatoon 2: Final Fest のロゴから連想するものとして,台湾の彫刻家 韓旭東 (Hsu-Tung Han) 氏の作品群があります.彼の木彫りの彫刻作品は,木材から掘り出された滑らかな立体にグリッチが加えられたものになっています.

グリッチアートで表現された木彫りの彫刻

こうしたアートの表現手法をグリッチアートと言います.Splatton 2のFinal Festのロゴは,グリッチアートに分類はしないかもしれませんが,発想の源泉や表現されたアートワークの印象は近いものがあるかもしれません.

“【眺墨賞】Final Fest #033” への1件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください