【眺墨賞】Cafe Miiso #30

眺墨賞は,素晴らしいデザインのロゴ・タイポグラフィなどに対し敬意を表し,独自に表彰するすみながめの企画です.毎月1つの作品を選び出し,素晴らしい作品のデザインの特色を解説します.

眺墨賞 ロゴ

第30回となる2019年4月の受賞は,Cafe Miisoです.Cafe Miisoはオーストラリアのシドニーにあるカフェで,和風の食事を基本とした軽食を提供しているお店です.Cafe Miisoのロゴは明らかにアルファベットで書かれていますが,そのロゴのデザインは漢字の明朝体のように描かれており,とても個性的です.

Cafe Miiso ロゴ

アルファベットと明朝体の融合であるという点で,Cafe Miisoのロゴは意欲的で面白いロゴであると初州は思います.ただ面白いだけでなく,実際にこうしたデザインアイデアには人気もあり,異なる文字文化圏のタイプフェイスデザインを融合させる取り組みはときどき見られるものです.この記事では3つの例をあげて,この種のデザインがいかに多くのデザイナーを魅了しているのかを見ていきましょう.

Ming-lish / 齋藤よりとぅむ氏

最もよく似ている例として初州が挙げたいのは,齋藤よりとぅむ氏が開発するフォント「Ming-lish」です.このフォント名は,明朝体のミンとEnglishのglishの混成による造語だろうと初州は推測していますが,Cafe Miiso と同じく明朝体のスタイルを欧文に適用した意欲的なタイプフェイスデザインのフォントです.​

Ming-lish のデザイン例

2018年の10月のツイートで「2018年12月完成を目標に製作中」と書かれていますが,2019年4月17日現在ではまだ公開されてはいないようです.初州はこうしたアイデアが光るフォントが好きなので,Ming-lishの完成が楽しみです.

実は minglish という英単語は実在しています.英単語 Minglish の意味は文脈により微妙に異なりますが,概ね「英語と別の言葉が混ざったもの」というようなニュアンスです (詳しく知りたい方はWikipediaUrban DictionaryCollins Dictionaryの説明を読んでみてください).造語のフォント名でありながら,奇しくも実在する単語の minglish として解釈しても意味が通るという点も,たいへん個性的なフォントだと感じます.

Tabashike / すみながめ

拙作の紹介で恐縮ですが,すみながめオリジナルのフリーフォントTabashikeも,同じく2つの言語のタイプフェイスデザインをミックスしたような見た目です.Tabashikeは主にひらがな/カタカナのフォントですが,見た目は欧文風のタイプフェイスデザインを模倣しています.

Tabashike 紹介画像

Tabashikeの詳しいデザインコンセプトは別記事に譲るとして,欧文と和文のスタイルのミックスという意味ではCafe MiisoやMing-lishと共通する部分があるように感じます.

る (平成最後のフォント) / かんよ〜氏

他にも2つの異なる言語のタイプフェイスデザインを混ぜた面白い例として,平成最後のフォントの「る」を例に挙げましょう.この「る」はかんよ〜氏によるデザインで,ひらがなの「る」にハングルのタイプフェイスデザインのテクニックを応用しています.

かんよ〜氏による「る」デザインコンセプト

初州は以前 Tabashike を作る際に,欧文のスタイルを和文に適用するということを行いました.それゆえ,齋藤よりとぅむ氏が開発するMing-lish (和文のスタイルを欧文に適用する) は面白いながらも,ある意味では私の発想の範囲内でした.

その点で,かんよ〜氏の「る」のタイプフェイスデザインは私をたいへん驚かせてくれました.Tabashike で和文と欧文のミックスを発想しただけで満足していた私には,ハングルと和文のミックスというアイデアがとても新鮮に映ったのです.

初州にとっての驚き… という点を強調しすぎましたが,重要なことは,2つの言語文字のスタイルのミックスの事例として,かんよ〜氏による「る」は素晴らしい先行事例です.


もちろん Cafe Miiso のロゴデザインは独創的ですが,誰も思い付いたことが無い…というわけでもありません.しかしだからこそ,多くの人に人気のデザイン手法として色々な場面で取り入れられているのだと思います.

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