SVG を選ぶ4つの理由! (Ai ではなく)
すみながめはロゴデザインの制作を承っており,これまでの実績の一部をウェブサイト上でも公開しています.すみながめが制作を請け負ったデザインは,SVGというベクターグラフィックのデータ形式で納品することを基本としています (PNGなども利用可能です!) .SVG とは, W3C (World Wide Web Consortium) が策定しているオープンな標準フォーマットです.
グラフィックデザインに詳しい方は「すみながめは,なぜ Adobe Illustrator の形式 .ai
を使わないの?」との疑問を持たれるかもしれません.この記事では,すみながめが制作請負の際に,AIデータではなくなぜSVGデータで納品するのかについて説明します.簡単に結論をまとめると次の4点です.
- 拡張性: ベクターアニメーションを表現可能
- 移植性: 複数のプラットフォームでそのまま使用可能
- 互換性: 様々なアプリケーションにインポート可能
- 信頼性: 独占的なベンダーロックインの心配が不要
拡張性: ベクター画像のアニメーションを表現可能
最初に目を引くSVGの特徴はアニメーション機能でしょう!SVGは静止画としても利用できますが,アニメーションさせることもできるのです.アニメーションを実現する方法は様々ですが,下に貼ったSVG画像はSVGデータの中にCSSを埋め込むことによってアニメーションさせています (ちなみに 化けた
と書いたつもりです笑).
他にもSVGでアニメーションを表現する方法として,Javascriptを使う方法,SMILを使用する方法,それらの組み合わせなど,複数あります.そして重要なことは,AIデータはアニメーションをサポートしていないということです.これはSVGがAIよりもパワフルであることを示す分かりやすい例の一つでしょう.拡張性の観点でSVGは優れています.
移植性: 複数のプラットフォームでそのまま利用可能
SVGはWeb/Android/iOSなどの複数のプラットフォームでそのまま使用できます.あなたがロゴ制作を誰かに依頼したくなるときはいつでしょう?新しいウェブサイトを作成したときやモバイルアプリを開発したときではないでしょうか.SVGであればWebでも,Androidでも,iOSでも納品データをそのまま使用することができますよ.

AIデータ (Adobe Illustratorの標準データ形式) は,これらのプラットフォームでそのまま表示することはできません.もしAIデータを利用したい場合は,PNG や SVG などのサポートされている別の形式に変換する必要があります.移植性という観点でも,SVG は AI データよりも優れていると言えるでしょう.
互換性: 多数のアプリケーションにインポート可能
SVGはオープンフォーマットであり,Adobe Illustrator を含む様々なアプリケーションがSVGをサポートしています.一方でクローズドなフォーマットであるAIデータは,基本的にAdobe Illustrator で閲覧・編集することしか想定されていません.Adobe CCのライセンスによっては Illustrator のインストールはPC 2台まで,同時起動は1台までと制限があることを考えれば,様々なアプリケーションで編集可能なSVGの互換性も,SVG を選ぶメリットです.

特定のアプリケーションでしか閲覧・編集できないことの問題点の一つは,ワークフローの煩雑化にあります.例えば多くのデジタルカメラはメーカーごとに異なるフォーマットのRAWデータを出力するため,写真家はカメラごとに異なる現像ソフトを使う必要があり,作業が煩雑になっています (そして面白いことに,Adobeはこの問題を解決するためにオープンフォーマットを策定しています).SVGとAIの対比は,この構図とよく似ていますね.
信頼性: ベンダーロックインに悩まされない
AIデータに対してSVGが優れている点は,ワークフローの利便性だけではありません.2019年5月にAdobeは自社サービスのCreative Cloudの利用に関して唐突に大きな変更を下しました.AdobeはAdobe CCに含まれるソフトウェアの最新版と1つ前の版以外の過去バージョンを非認定とし,使用を認めない旨を通達したのです.もちろんAdobe CCのラインナップであるIllustratorも例外ではありません.
例えばIllustrator CC 2014とそれ以前では,均等配置の挙動に互換性がありません.そのため「過去バージョンのIllustratorでなければ正しく閲覧・編集することのできないAIファイル」といったものが存在しています (Adobe は公式に互換性ガイドブックを発行しています).2019年5月の変更によって過去バージョンを利用できなくなると,こうしたファイルを扱う際に問題が発生しかねません.

2019年5月の事例のようなことが,この先ないとも限りません.すなわち,AI形式に依存しすぎることは,ユーザーの資産たるデータを閲覧・編集する手段が断たれてしまうリスクをはらんでいるのです.オープンな標準フォーマットであるSVGデータであれば長期的に利用可能であることが期待できますし,そのためデータの信頼性も高いのです.
以上のような理由から,すみながめは制作依頼を頂いた際には SVG データでの納品を行っています.すみながめにロゴデザイン・アイコンデザインをご用命の方は制作依頼・お問合せからお気軽にご連絡ください! (といっても,この記事を読んで「そうか!すみながめに頼もう!」とはならないような気もしますが笑)
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