【眺墨賞】かっぱ寿司 #011
眺墨賞は,素晴らしいデザインのロゴ・タイポグラフィなどに対し敬意を表し,独自に表彰するすみながめの企画です.毎月1つの作品を選び出し,素晴らしい作品のデザインの特色を解説します.

第11回となる2017年9月の受賞は,かっぱ寿司のロゴです.かっぱ寿司は1973年創業のカッパ・クリエイト社が運営する回転寿司の大手ブランドです.回転寿司店としての「かっぱ寿司」は,創業の6年後となる1979年に第1号店が開店しました.

かっぱ寿司は2016年10月からブランドの刷新を進めていて,2017年6月に全国330店舗の看板を新しいデザインに変更することが完了しました.ブランドロゴの変更は2016年9月29日に発表され,同年10月1日から段階的に展開がなされていました.
以前のロゴと比較すると,その差は一目瞭然です.従来のロゴに描かれていた可愛いかっぱのイラスト (カーくんとパー子ちゃんという名前だそうです) がなくなり,今時らしいシンプルで寡黙な幾何学図形のみに変更されました.私個人の好みで言えば,この新しいロゴのほうが単純で洗練されていて,格好いいものと感じます.

この図形を少しだけ分解して見てみましょう.下の図は概ねよく特徴を捉えていますが,それでも正確にかっぱ寿司のロゴをトレースしたものではありません.例えばX軸方向に120,Y軸方向に125の長さを持った楕円を描いていますが,実際のロゴではこの線よりも微妙な形状です.ロゴを単純な図形でトレースしてみたことで,皿の形状がとてもきめ細やかに調整されていることを見て取ることができました.

この新ロゴを設計したデザイナーの名前は,調査の範囲では判明しませんでした.かっぱ寿司が「脱かっぱ」の合言葉でブランド刷新を狙った企画を担ったデザイナーが気になるところですが,新しいロゴは今風で誰もに親しみやすいものになっていると言えます.