眺墨賞は,素晴らしいデザインのロゴ・タイポグラフィなどに対し敬意を表し,独自に表彰するすみながめの企画です.毎月1つの作品を選び出し,素晴らしい作品のデザインの特色を解説します.

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第6回となる2017年4月の受賞は,ザ・ゲートホテル雷門のロゴです.ザ・ゲートホテル雷門は東京都台東区雷門2丁目16-11に位置する地上14階建てのホテル施設で,2012年8月に開業しました.

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このロゴは,1955年生まれで,1979年に東京藝術大学デザイン科を卒業したグラフィックデザイナー佐藤卓氏によってデザインされました.2012年のホテルの開業に合わせて,佐藤卓氏は次のような理念を込めてこのロゴをデザインしました.

新しい門の形 力強さと安定、正統派

ザ・ゲートホテルのシンボルマークは、「門」をモチーフにした新しい漢字です。象形文字から発祥した漢字を独自に進化させ、マーク化しました。マークを構成している横ラインは、お客さまに利用していただくホテルの階層を意味し、ラインとラインの間(ま)は、ホテル側が心掛ける目に見えない丁寧なサービスを表しています。

「象形文字から発祥した漢字を独自に進化させ」という記述がありますが,このロゴからはその思想が大変よく伝わってきます.このロゴをあしらうホテルは浅草という観光地にあって,漢字の読めない外国人にもgateという語と,このロゴの図形が意図している対象の共通性は通じることでしょう.

このロゴの下部に書かれた「THE GATE HOTEL」という文字は, Copperplate Gothic という人気のあるフォントで書かれています.Copperplate GothicはFrederic W. Goudyによってデザインされた書体で,1901年にAmerican Type Foundersから発売された伝統ある書体です.

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ロゴをデザインした佐藤卓氏は,このホテルのさまざまな内装のデザインも担当しています.ホテル内に置かれたレストランの表示やバーの表示も,上記の「門」のデザインと同じマナーで制作されています.

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この「R」と「B」も,「門」と同じように「構成している横ラインはホテルの階層を意味し、ラインとラインの間は、ホテル側が心掛けるサービスを表しています」ということでしょうか.これら3つの文字はどれも8本の横線で構成されていますが,このホテルは14階建てです.


佐藤卓氏は「デザイン」について,2017年のインタビューで次のように語っています.

社会と接点がないデザインというものはないんですよね。メディアでよく使われる「デザイン家電」とか、「デザイナーズマンション」とか、何か特別なものにだけにデザインが施されているような表現は、間違った使い方です。

たとえば、右側通行と決めることによって、多くの人がぶつからずに心地よく生活できる。このルールもデザインの領域です。そう考えると、デザインに関わりがない物事なんてない。政治、経済、医療、福祉、教育、都市……。すべてにデザイン的な人の手が入っています。

「デザインとは問題解決である」というのはよく言われることですが,ゲートホテルのデザインはどのような課題が設定されていたのか気になります.

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