平成最後の「エ」をめぐる妄想
フロップデザインさんが主催する平成最後のフォントプロジェクトに,すみながめも参加させていただきました!とても楽しいプロジェクトに参加できて,大変満足しています.
初州 (すみながめの中の人) は,このプロジェクトでカタカナの「エ」のグリフ制作を担当しました.出来上がったタイプフェイスのデザインはこんな感じです.

ひと目見て,これがカタカナのエだとはピンと来ないかもしれませんね…しかし,これは「エ」なのです (なぜなら私がそうだと言っているからです!笑).私がなぜこんな「エ」をデザインしたのか,その発想の軌跡を簡単に記録したいと思います.
最初は連想ゲーム
まず手始めに「エ」で始まる単語を考えました.単語の種類はいくらでもあると思いますが,まず思い付いたのが「エレガント」でした (ひらがなですが,えれがんとというフォントがあるからかもしれませんね…笑).
さらに連想を推し進めると,「エクセレント」「エリート」「エキスパート」などなど,優雅で格調高い感じの単語がたくさん思い浮かびました.ここから,この優雅な感じを活かしたタイプフェイスデザインをしようと思い付きました.
しかし,エレガントなタイプフェイス?それってどんなものでしょうか?全くの無からエレガンスを生み出すのは一苦労ですが,私にはエレガントなフォントとして思い当たる候補がありました.
Joseph Gillé のデザイン
私はウルフルズがとっても好きなんですね.いつ頃から聴き始めたのかはっきりとは覚えていませんが,遅くとも2005年までにはすっかり熱烈なファンでした.そしてウルフルズのボーカリストトータス松本のソロ名義の曲も好きで聴いていて,2012年に発表されたソロ楽曲『STARS』もお気に入りの1つです.
Superflyとのデュエットでとてもいい歌だし,CDも買って持っているのですが,そのCDのアートワークデザインがまた素晴らしいのです!ファンシーな写真と一緒に,エレガントな雰囲気の文字が書かれていますね.

ウルフルズ&トータス松本と,僕の平成
2012年の当時は,これが Joseph Gillé というタイプフェイスデザイナーが作ったデザインだとは知りませんでした.しかし知らないながらも,このフォントのデザインに強く感動したのを覚えています.感動しすぎてカタカナで真似したほどですから!

2019年の今,振り返って見返すとかなり拙い点が気になる作品です…それでも2012年の当時に見たSTARSのフォントへの感動の熱量が,ここに込められていることは間違いありません.
私は1990年生まれなので, (ほぼ) 平成とともに成長してきた世代です.そしてウルフルズを熱心に聴いていた2005年の前後の私は,多感な青春時代を送る中学生でした.無限リピートでウルフルズとトータス松本を聴きまくった青春を思い出しながら,「ウルフルズとトータス松本が,僕にとっての平成ってことでもいいんじゃないか」とも思いました.
さぁ書いてみよう!
そうと決まれば,あとは書くだけです.何回か書いたうちの綺麗な下書きを代表で載せましょう.

これをトレースして完成です!すみながめはInkscapeの解説動画をYouTube上にたくさん公開していますから,制作作業にはもちろんInkscapeを使いました.
以上のデザインコンセプトの概略は,文ッ字フリマ向けに作成したコンセプトシートにも書いています.文ッ字フリマは2019年4月27日に開催される予定の文字に関する様々なデザインを集めたイベントです.イベントに参加できない方のために,ここに初州が提出したコンセプトシートを掲載しておきます.

もう少し話し足りない話題もあるのですが,記事が長くなりすぎてしまうのでここまでにしようと思います.お読み頂きありがとうございました!
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