簡単な立体ロゴのチュートリアル #051
Inkscapeの「モーション」という機能を使えば立体的なロゴを簡単に作ることができます.動画ではInkscapeの重要機能の一つであるパスエフェクトの「Perspective/Envelope」を駆使していますが,詳しく言及できていません.この記事では動画では説明していなかったこの機能の詳細を見ていきましょう.
Perspective/Envelope の基本
Perspective/Envelopeの機能は2つの機能の総称です.どちらもエフェクトを適用した対象が4つのノードに従って変形するような機能です.下のGIFアニメは,市松模様のオブジェクトに Perspective/Envelope のパスエフェクトを適用して,オブジェクトを適当に変形している様子です.

オブジェクトの四方にあるノードを動かくことによって,市松模様のオブジェクトが歪んで変形しています.上のアニメーションではノードを直接マウスで移動させていますが,パスエフェクトのダイアログの下半分にあるテキストエリアに座標数値を直接打ち込んでも変形させることができます (あまり直感的な使い方ではないと思いますが…).

2つの type の違いを知る
Perspective/Envelope には2つの変形方式 (type と呼びます) があり,これらはとても良く似ていますが,少しだけ違います.

上掲のGIFアニメでは,市松模様のオブジェクトに Perspective/Envelope のパスエフェクトを適用し,その type を交互に入れ替えています.type には先述の通り,2種類あります.
- Perspective (日本語UIでは「透視図」)
- Envelope deformation
それぞれどう違うのかを厳密な言葉で言い表せないのですが,ここでは感覚的に説明します.Perspective の変形は,1枚の硬い板を斜めに傾けたような変形です.板を透視図で書き直したような形になります.

一方で Envelope 変形は,一枚の柔らかい紙をめくり上げたような変形です.Perspective の変形と比べて,右奥のほうがめくり上がったような見た目になっているように見えるでしょうか?

実際に対角線を引いてみると分かりやすいかもしれません.下の2つの画像は,Perspective/Envelope の2つの変形の type を適用したものに対角線を載せたものです.どちらも一番右上の左上の頂点から対角線を引いていますが,線の形はだいぶ異なっているのが分かるでしょう.


3つの詳細なオプション
最後に3つある変形のオプションを見ていきましょう.3つのオプションとは次に挙げるものです.
- Mirror movements in horizontal
- Mirror movements in vertical
- Overflow perspective

上のGIFアニメでそれぞれのオプションをONにしたときの挙動を示しています.簡単に説明すると,それぞれ
- 上下対象に変形する
- 左右対称に変形する
- (type が透視図のとき) 凹四角形の変形を許容する
といった感じです.特に3点目のオーバーフローのオプションは,変形の type が Perspective (透視図) のときにだけ意味があり,type が Envelope のときにはこの設定は無関係です.
ちなみに凹四角形とは,「1内角の大きさが180°を超えるような頂点を持つ四角形」です (参考: 四角形 – Wikipedia) .