眺墨賞は,素晴らしいデザインのロゴ・タイポグラフィなどに対し敬意を表し,独自に表彰するすみながめの企画です.毎月1つの作品を選び出し,素晴らしい作品のデザインの特色を解説します.

%e7%9c%ba%e5%a2%a8%e8%b3%9e_%e5%a1%97

第13回となる2017年11月の受賞は,2017年10月下旬に公開された『クロレッツのかたち』という広告です.詳細な公開の日付について明らかにすることは記事執筆段階ではできていません.Twitter検索で until:2017-10-25 クロレッツのかたち としても該当情報が得られず, since:2017-10-26 クロレッツのかたち とすると該当情報が得られることを考慮すると,どうやら2017年10月26日から順次公開されていたのではと思われます.

figure_green1

これは1954年創業の株式会社宣伝会議が運営するクリエイティブ専門のデジタルマガジン『ブレーン』が,クロレッツ (株式会社モンデリーズ・ジャパンが日本で販売) とタイアップし実施したプロモーション企画です.これはクロレッツの5つの味,「オリジナルミント」,「クリアミント」,「フルーツミント」,「グリーンライムミント」,「シャープミント」を,見ただけで想起できるような図形は無いものか?という疑問から始まりました.

かたち

これは大まかに次の手順で行われたと,公式サイトに書かれています.

  1. 700以上の無作為な図形を作成する
  2. 130人にクロレッツのガムを食べたあと,感覚的に味・食感・手触り・形をヒントにガムのイメージに近い図形を5つ選択してもらう
  3. 5つのフレーバーについて同じことを実行する

手順1で作成されたすべての図形が公開されているのかどうかは不明ですが,公式ウェブサイトには770個の候補図形が掲載されています.おそらくこれが「無作為に作成された700以上の図形」の全てではないかと思われます.

図形

調査の第2段階はアンケートです.1つのフレーバーにつき,130人が5つのイメージを選び出すように指示されます.この結果650個 (= 130人 × 5個) の解答が集められることになりますが,この数は選択肢の数である770個よりも少ないです.このような方法で集計され導き出された結論が統計的にどれほど有意なのか,検証するためには情報が少ないかもしれません.

調査の第3段階は,上記と同じことを5つのフレーバーに繰り返します.どのフレーバーに対しても650票しか集めることができないため,770個の図形からどれほど適切に選び出すことができたのかについては,上述のとおり検証してみたい項目ではあります.

しかし結論は概ね同意できるものでした.人間が味覚と視覚 (図形) をどのように連携して認知しているのかに関するとても面白い検証となっていると思います.僕が中でも「これはしっくり来るな」と感じたのはフルーツミントフレーバーに採用された図形でした.

https://i2.wp.com/www.sendenkaigi.com/clorets/img/figure_pink1.jpg?resize=616%2C336&ssl=1

味覚と視覚 (特に「味覚の視覚的・図形的表現」) は面白いトピックであるため,例えばYahoo! 知恵袋にもこのような質問が掲載されています.

mt8809 さん 2011/10/422:41:45

味覚を絵で表現するとしたら、何を描きますか?
甘いや辛い、酸っぱい、苦いなどで意見を聞きたいです。

食べ物をそのまま描くとかではなく、図形とか柄でお願いします!

ご回答よろしくお願いします^ ^


ベストアンサーに選ばれた回答
vjid_dij_vさん 2011/10/508:58:36

どっちかというと漫画的効果表現がそのまま表しやすい感じだよね。

よくおいしさを表現するとき点描とか花なんかがばら撒かれたりするけど甘さもそんな感じ。
やわらかい甘みだとシャボンだま的なイメージもあるかな。

辛さなら、ぴりぴりした刺激をトゲトゲの噴出し柄かな。
効果でいうならベタスパークフラッシュとかね。
超辛口ならファイヤー柄とか。

すっぱさにも種類があるけどびっくりマーク
瞬間の刺激と違う驚きというか。
あと、思わず口をすぼめちゃうんで「*(アスタリスク)」かな。
効果的には普通のフラッシュ。

苦さにも適度に心地いい苦さもあるけど
そうじゃない苦さなら効果だとオドロ線とかナワアミって感じ。
形で表そうと思ったら思いつかなかった。
色だったら、青汁的な感じかな。

これが誰しもに共通の感覚ではないと思いますが,近からずといえども遠からずの感覚を持っている人も多いことと思います.このような五感の関連性のことを「共感覚」と言います.Wikipediaの解説を引用してみましょう.

共感覚は、ある刺激に対して通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚をも生じさせる一部の人にみられる特殊な知覚現象をいう。 例えば、共感覚を持つ人には文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりする。

Wikipediaの説明では「一部の人に見られる特殊な知覚現象」とされていますが,当然誰にでも多かれ少なかれあるものです.その証拠に「味覚を図形で表したらこうなった」というものが面白いコンテンツとして存在していて,多くの人がそれに共感できるわけです.

共感覚への面白いアプローチをデザインに取り込んだ例として,クロレッツの取り組みはとても興味深いものでした.

広告