Inkscapeでブラックレターのカリグラフィ #031
ブラックレターとはアルファベットの書体の一つで,紙面を黒く埋め尽くすことから「黒い文字」と呼ばれています.今回はこうしたブラックレター風の文字のデザインを解説します.そして,なぜカリグラフィーツールでなく「エクステンション > モーション」の機能を使っているのかを,ここで明らかにします
カリグラフィーツール
ブラックレターにも多くのスタイルがありますが,ほとんどの書体はカリグラフィーペンを用いて書かれます.カリグラフィーペンとは欧文の文字を美しく書くことに特化したペンで,たいていペン先が太く平たい形をしています.平たい面で塗るように書けば太い線を,切るように書けば細い線を書くことができるため,線の濃淡を強調した美しい文字を書くことが出来るのです.
Inkscapeにもカリグラフィーツールがあります.カリグラフィーツールを使用することで,カリグラフィーペンで書くような美しい文字のデザインを行うことができます.カリグラフィーツールには次のようなパラメータが用意されています.
- 線の幅
- 幅の変化
- 角度
- 固定度
- キャップ
- 震え
- うねり
- 質量
なぜ動画では使ってない?
Inkscapeのカリグラフィーツールをマウスとキーボードで使用するのは簡単ではありません.Inkscapeの公式チュートリアルページにもこのような記述があります.
たとえば Wacom などのペンタブレットを使えば最もよい結果が得られるでしょう。このツールには柔軟性があるので、マウスだけでも、素早く曲線を引くことには若干の困難がありますが、かなり複雑なカリグラフィを書くことができます。
Inkscape tutorial: カリグラフィ | Inkscape
しかし,すみながめがチュートリアルを行う性質上,カリグラフィーツールは解説で使いやすいものとは言いがたいです.ペンタブレット上の操作を言葉説明するのは簡単ではありません.
そこで今回は特殊な方法を採用しています.この方法を使うことでカリグラフィーを再現性のあるように作成することができます.創意工夫をすることで,デザインに再現性を持ち込むことができます.理路整然としたデザインは洗練された印象を見る者に与えることができるため,デザインを行うときにはできるだけ工夫して再現性を確保してみると面白いでしょう.