【眺墨賞】みんなのAI #031

眺墨賞は,素晴らしいデザインのロゴ・タイポグラフィなどに対し敬意を表し,独自に表彰するすみながめの企画です.毎月1つの作品を選び出し,素晴らしい作品のデザインの特色を解説します.

第31回となる2019年5月の受賞は,みんなのAIです.みんなのAIはオンラインメディアのGIZMODEが2018年2月に開始した特集で,機械学習を用いたソフトウェアの活用事例などが紹介されています.

みんなのAI ロゴ

面白いのはロゴの文字です.書かれた文字は「みんなのAI」であることがすぐに理解できる作りになっていますが,しかし (Iを除く) 文字はかなり大幅に簡略化・図案化されています.中でも初州が特に面白いと感じたのは「な」の字です.ポイントは「な」の字は対称ではないのに,みんなのAIのロゴの中では点対称に書かれていることです.

対称図形は概ね線対称と点対称に分類することができ,例えば「A」という字は (フォントによる違いは脇に置けば) 線対称 (左右対称) になっています.「I」は線対称的でも点対称的でもあると言えるでしょう.

対称的な図形

みんなのAIのロゴの中では「の」「A」「I」が対称的な図形で描かれていますが,そもそも「A」と「I」は初めから対称ですし,「の」も簡単な形状なのでデフォルメすることは難しくなかったでしょう.そして「み」と「ん」は単純な図形の組み合わせで表現されていますが,対称図形にまで落とし込むことには成功していません.元々の字が十分に複雑でデフォルメするのが難しかったからでしょう.

その点,「な」が対照的な図形で描かれていることは驚きに値します.「な」の元々の字は複雑であるにもかかわらず,みんなのAIのロゴの中では対称図形に落とし込むことに成功しています.私はこのように,ひらがなやカタカナを,それを構成する重要なエッセンスを損なわずにデフォルメしたものがとても好きなのです.

すみながめ作 ひらがなモチーフのロゴ

実はすみながめのチュートリアル動画では,こうした「ひらがなのデフォルメ」を時どき行っています.ひらがなをロゴ化するときに,そのままでは使い勝手が悪いので,デフォルメしてスタイリッシュにするといいのではという初州自身の考えが反映されています.作例を上に掲載しました.

こうした初州自身の趣味にも,みんなのAIの「な」のデザインはとても共鳴しました.なぜこのテクニックが重要と初州が考えているかと言えば,ロゴの簡潔さと印象強さを料理るすることが出来るからです.詳しくは第22回 眺墨賞で説明していますのでご覧ください!

みんなのAI 「な」

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