下書き➔清書でロゴ作成を効率的に! #058
今回のチュートリアルでは立体感のあるロゴを制作します.これはタイポグラフィっぽくなっていて,漢字で「恥」と書いたつもりなのですが,この漢字の意味についてはさておき,今回の記事では「立体感を生み出す影」にスポットライトを当てて,少しだけ踏み込んで分析してみましょう.
影の種類
読者の皆さんは体系的にデッサン (素描) を習ったことはありますか?初州 (ういす) は実は無いのですが,検索してみると色々な資料が見つかります.中でも影のメカニズムを単純に,要素を絞って表現しているこの資料が分かりやすいと感じたので紹介してみましょう.

光源から発せられた光が物体に当たるとき,大雑把に分類して6つの明暗部が生まれます.6つに分類する理由は,それぞれの部分ごとに明るい理由,暗い理由が異なっているためです.
- ハイライト (光源の光を受け最も明るい.アクティブハイライトとも呼ぶ)
- 明部 (2番めに明るい.パッシブハイライトとも呼ぶ)
- 暗い明部 (ハーフトーンとも呼ぶ)
- 陰 (光源からの光が当たらない場所.「影」とは漢字が違うことに注意!)
- 反射光 (光源からの光は当たらないが,床からの光を受けて陰部よりもやや明るい)
- 影 (床に落ちた物体の影.投影とも呼ぶ.「陰」とは漢字が違うことに注意!)
さて,これは関係ある?
陰影の種類を概観するために明部や暗部の分類について紹介してみましたが,今回の動画チュートリアルの内容と関係があるでしょうか?…ないですね!今回のチュートリアルで作るロゴは,言ってしまえば上記の明部と陰だけしかない2階調の単純化された陰影でしかありませんでした.陰影の原則からは逸脱した今回のロゴのチュートリアルは役に立たないものでしょうか?
そんなことはありません.例えば Kincho のムカデハンターという商品でも,今回のチュートリアルで紹介したのと同じ明暗2階調の単純化された陰影の立体感を用いたロゴが実際に使用されています.こうした明暗2階調のロゴというのはたくさんあり,こうしたロゴやタイポグラフィを自在に制作できるテクニックはたいへん役に立つスキルだと言えます.

他にもこんなロゴも有名でしょう.読者の皆さんも一度は行ったことがあるであろう量販店,ドン・キホーテです.

とは言え,陰影の原則について知っておくことも全くの無意味ではないでしょう.こうした知識が,次にあなたがデザインを起こすときの引き出しとして貢献し,生み出すことにできるレパートリーを着実に増やしてくれます.今回の記事はそのための準備として読んで見いただければ幸いです!