眺墨賞は,素晴らしいデザインのロゴ・タイポグラフィなどに対し敬意を表し,独自に表彰するすみながめの企画です.毎月1つの作品を選び出し,素晴らしい作品のデザインの特色を解説します.

第23回となる2018年9月の受賞は,富士通のビジュアルアイデンティティです.富士通のビジュアルアイデンティティは2010年6月18日に刷新され、2018年現在も使用されているような特徴的なフキダシ型のデザインとなりました。
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ビジュアルアイデンティティとは「ロゴを中心とした、視覚的な展開を統一する活動」のことです。富士通はこのフキダシ型のロゴを様々な場所で使用しています。「富士通が行う視覚的な展開」は、このフキダシ型のロゴを使用することで「全体的な統一感」が醸成されています。

富士通は消費者向け家電製品を製造していますので、当然消費者向けの製品ポスターなどでこのフキダシ型のロゴは使用されています。また他にも、例えば株主だけに向けた決算報告の資料の表紙にもこのロゴは使用されています。
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変わった応用的な使い方としては、資料の表紙での展開もあります。ここでは吹き出し型のロゴをそのまま使用するのではなく、それを横に引き伸ばしたような図形が使用されています。単に赤と白の塗り分けでスライドの内容に意味的な区切りを付けるに終わらせなことで、スライドに「富士通っぽさ」がさり気なく演出されています。

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上のような柔軟な運用を可能にするロゴは可搬性が高く,どこにでも登場させることができます.それによって「富士通といえばこの形」という連想を多くの人に刷り込むことが出来るようになるため,このロゴはビジュアル・アイデンティティの目的に忠実にデザインされていると初州は感じます.

富士通はこのビジュアルアイデンティティを制定するために、独自のフォントを作成しています。そのフォントは Fujitsu Sans という名前で、シンプルでスッキリしたタイプフェイスを持つデザインです。ただ特別に個性的な見た目という感じではなく、Ubuntu というフォントにそっくりです。フォント「Ubuntu」は自由に研究,加工,再配布することが許可されてるライセンスを採用しているため,富士通はこれを微調整してFujitsu Sansを制作したかも知れません.

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最後に,この富士通のビジュアル・アイデンティティを構成するロゴの由来を引用しましょう.この富士通のロゴはたいへん意外な由来を持っています.なんとこのフキダシ型のロゴはアルファベットFの上の横棒の右端から作られています.

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  • ブランドプロミスを実践する上で最も重要なコンセプトである『お客様との対話』をイメージ。
  • 『対話』を象徴するデザインを富士通グループのシンボルマークであるFUJITSUロゴの「F」という文字とつなげることによって富士通らしさを強調。

初州自身,見慣れた富士通のビジュアル・アイデンティティのロゴに,このような由来があることは知りませんでした.シンプルな由来ですが,結果として非常に有効なデザインになりえていると初州は思っています.

 

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