Inkscapeの「整列と配置」のメニューの中に「重なりを除去」という機能があります.これを上手に使用することで,タイルクローンのような規則的なオブジェクトの配置を簡単に実現することができます.タイルクローン機能はパラメータが多く使いこなすのが難しいですが,「重なりを除去」はその簡単な代替手段として使うことができます

概要説明

まずは有名な操作方法の解説サイトであるInkscape@JPの解説を引用してみます.

「重なりを除去」を使うと、 現在の位置構成を可能な限り保ち 、重なったオブジェクトがあれば重ならないよう配置しなおします。

 

「現在の位置構成を可能な限り保ち」という点は強調してもいいでしょう.これが重なりを除去機能の大前提にあります.つまり,例えば始めから重なっていないオブジェクトに適用すると,「何も起きない」ということもありえるのです.

重なりを除去の基本的な動作を確認できる画像を下に掲載します.左側には互いに重なりあった5つの正方形があり,右側に重なりを除去の機能を適用して重ならなように再配置された正方形があります.

重なりを除去_01.png

注意点

重なりを除去機能はこのようにオブジェクト同士の重なりを解消するために使用される機能ですが,使う際に気を付けたい注意点があります.重なりを除去機能では,重なりはオブジェクトを囲むバウンディングボックスを基準として判定されます.

重なりを除去_02.png

そのため,例えば三角形と逆三角形とではもっと詰めて配置できそうに見える場合でも,機能の適用結果は直感とは少し異なるものになるでしょう.上の画像はそれを示したものです.

他にもオブジェクトにぼかしを適用した場合にも同じようなことが当てはまります.ぼかされたオブジェクトのバウンディングボックスはかなり広いため,重なりを除去機能で重なりを解消すると,思ったよりもオブジェクト同士が離れた状態になるでしょう.

重なりを除去_03.png

この点に気をつけると,重なりを除去機能を適用した結果と自分の想定の違いを小さく出来ることでしょう.

応用

重なりを除去機能では,重なりを無くすにあたって「互いに何ピクセル以上離れて欲しいか」を指定して適用することができます.これまでのサンプル画像ではすべて水平 0.0 px,垂直 0.0 pxで適用していました.例えば下の画像のように,水平に 5 pxだけ離すように指定して適用することができます.
重なりを除去_04.png

このような使い方は,タイルクローンで作られるような規則的なストライプ模様を簡単に作るための代替手段として活用できます.このストライプの隙間 (=オブジェクトのストロークとストロークの隙間) は5pxとなっています.

重なりを除去したいケースはしばしば発生するものです.「整列と配置」はInkscapeで最も頻繁に使う機能ですから,重なりを除去機能の使い方をマスターすることはInkscapeの使いこなしに大変役立ちます.

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