眺墨賞は,素晴らしいデザインのロゴ・タイポグラフィなどに対し敬意を表し,独自に表彰するすみながめの企画です.毎月1つの作品を選び出し,素晴らしい作品のデザインの特色を解説します.

第18回となる2018年4月の受賞は,京都 瓢嘻です.京都 瓢喜は株式会社STYLE-RANGEが運営する日本料理店ブランドです.同社は京都 瓢喜を含めて以下の3つの日本料理店ブランドを展開しています.

  • 京都 瓢斗

  • 瓢嘻 香水亭

  • 京都 瓢嘻

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私,初州が京都 瓢嘻を知ったのは2018年1月25日で,13:00ごろに瓢喜 西麻布店を訪れ昼食を食べたのがきっかけでした.店の入口にかかっていた暖簾が非常に凝った意匠の店名表記がなされていて,驚いた記憶があります.以下は初州が訪問時に撮影した暖簾の写真です.

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このような漢字の書体を九畳篆と言います.実は第9回の眺墨賞の受賞対象は九畳篆でした.第9回ではスクエアクーフィーと九畳篆の歴史と比較を行っていたので,初州自身は九畳篆について知ってはいました.しかし実際の生活の中で見付けたのは (おそらく) 初めてでした.そのため京都 瓢嘻の暖簾を見付けて大変良い印象を受けたのでした.

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数えてみると文字の輪郭を含めて17×17のマス目で構成されています.そしてその輪郭を上下左右の文字と共有しているため,全体の大きさは33×33マスになっています.

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輪郭を除くと,この「京都 瓢嘻」の字は15×15のマス目の中に書かれています.第9回の眺墨賞で取り上げた九畳篆で書かれた「武」と,今回取り上げているのれんに書かれた「瓢」を比べてみましょう.

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第9回で取り上げた九畳篆の「武」は17×17マスの中で書かれていました.そのため使えるスペースが広く,余ったスペースを埋めるために無理やり漢字の画を折り畳んでスペースを埋め尽くそうとしています.

一方で「瓢」は元々の字の画数も多く,また使用できるスペースも15×15で狭いです.そのため九畳篆に特有の画の折り畳みが少なく,すっきりとした印象になっています.「京」や「都」はいくらか折り畳まれていますが,全体としては小さなスペースしか使用していない九畳篆のため,折り畳みが少なくすっきりとした印象のロゴになっています.


冒頭に述べたように,「京都 瓢嘻」を運営するSTYLE-RANGE社は他の和食料理店を運営しています.そして特徴的なことに,そのどのブランドのロゴも九畳篆をベースにデザインされています.以下にそのロゴを掲載します.

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この大変印象的なロゴデザインを採用しているのにも関わらず,京都 瓢嘻のウェブサイトにはロゴに対する説明がありません.素敵なロゴを採用しているからこそ,その説明が公開されていないことは残念です.ぜひこのロゴが採用されるに至った経緯が説明されると良いと思います.

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一方で,STYLE-RANGE社自身のロゴについては説明されています.以下にその内容を引用します.

ロゴカラーは、深い落ち着きと真心を持った誠実な印象を兼ね備えた「濃紺」を使用し、見ている人に安心感を与える印象に。淡く薄い色よりもこの色の深みこそが、根源的な「研ぎ澄まされた視点」というイメージにつながると考えました。

ロゴマークは、頭文字「S」「R」が陰影のコントラストの中に見え隠れし、「目には見えないもの、すなわち〈心〉を大切にする」という意味が込められています。直線的なデザインで先進性と信頼性を訴求。陰影で表情をもたせ、発展し光り輝く様を表現しました。

 

企業のロゴはグラデーションを駆使したすっきりとしたロゴです.頭文字の「S」がどこに隠されているのか初州には判然としませんが,綺麗なロゴだと思います.企業ロゴについての説明があるので,ついでにレストランのブランドロゴについての解説も掲載して欲しいと思います.

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