【眺墨賞】西武鉄道 #25

眺墨賞は,素晴らしいデザインのロゴ・タイポグラフィなどに対し敬意を表し,独自に表彰するすみながめの企画です.毎月1つの作品を選び出し,素晴らしい作品のデザインの特色を解説します.

眺墨賞 ロゴ

第25回となる2018年11月の受賞は,西武鉄道です.西武鉄道は1912年に設立され,2018年現在は埼玉県所沢市に本社を置く鉄道事業者です.6系統12路線を走らせており,主な路線に西武池袋線,西武新宿線,西武秩父線などがあります.

西武鉄道 ロゴ

今回の受賞対象は2007年に制定された西武鉄道のシンボルマークです.このロゴは簡単な3つの色 (濃青 #3367cd,水色 #66cbff,緑 #34cc67) で構成されており,とてもスッキリしたマークです.西武鉄道社はこの3色をコーポレートカラーに制定しています.この3色はそれぞれ「信頼と安全・安心」「新しいことへの挑戦」「自然との調和」をイメージしているそうです.

全体の形状は林檎か桃のような果実のような形をしていますが,隠されたモチーフがあることはお気づきでしょう.ウェブサイトにはこのように書かれています.

果実のようなこのマークは西武グループの「西」の文字がモチーフになっている

https://www.seiburailway.jp/railways/kids/museum/company/

私はこのように,漢字やひらがな.カタカナをモチーフにして,それを図案化,簡略化したロゴがとても好きです.そのため私はこのロゴを見てすぐに好きになりました.フラットデザインの流行が2012年とすると,それよりも早い時期からシンプルでグラデーションのないデザインを採用していた点にも,西武鉄道のロゴに対する先見の明があるように思います.

私の好きなジャンルである「漢字・ひらがな・カタカナの図案化ロゴ」は,「アルファベットの図案化ロゴ」と比べると,数がそれほど多くありません.私が創造するに,その理由は2つあります:

  1. アルファベットの使用者のほうが世界に多いこと
  2. 日本語文字はアルファベットと比べて複雑で図案化しづらいこと

こうした理由から,漢字などを図案化したロゴはそれほど数が多くないと感じていました.しかし,実はとあるジャンルのロゴには漢字・ひらがな・カタカナを図案化したロゴが無数に集中していることが分かりました.それは「県章」です.

47都道府県の標章

上の画像は日本の都道府県の標章 (都道府県章や県旗のデザイン) です.9個の道県を除く,実に36都府県の標章のモチーフが漢字・ひらがな・カタカナです!これほどまでに日本語文字モチーフのシンボルが普及して一般的なデザインのジャンルはなかなか類を見ないと思います.

上の画像を拡大してみると,それそれの標章が何の文字をモチーフにデザインされたのかが書かれています.岩手県の標章が「岩」の字をモチーフに,京都府の標章が「京」の字をモチーフにしていることなど,ひと目見て分かることと思います.一方,次に述べる4つの標章は,モチーフの要素をそこから見出すことが私にはできませんでしたが,公式には画像に書いたとおりのモチーフを採用しているとのことです.

  • 栃木県 :「栃」をモチーフにしているらしい.
  • 神奈川県 :「神」をモチーフにしているらしい.
  • 新潟県 :「新」をモチーフにしているらしい.カタカナのガタは読み取れます
  • 福岡県 :「ふ」と「く」をモチーフにしているらしい.

このように,県章・県旗ではかなり一般的に日本語文字モチーフのデザインが採用されていることがわかります.これは各都道府県内の区市町村それぞれの標章にも同じことが言えるかも知れません.例えば私の知る限り,東京23区の標章は漢字モチーフのものが多くあります.

東京23区の区章

と,このように事例をたくさん並べてみると「なんだ,意外と漢字・ひらがな・カタカナをモチーフにしたロゴは多いじゃないか」と言われてしまうのですが,実際にはそれほど数は多くないと思っています.その意味で,西武鉄道のロゴに漢字の図案化が採用されていることは,意欲的なデザインだったと思います.

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