【眺墨賞】タガメサイダー #034

眺墨賞は,素晴らしいデザインのロゴ・タイポグラフィなどに対し敬意を表し,独自に表彰するすみながめの企画です.毎月1つの作品を選び出し,素晴らしい作品のデザインの特色を解説します.

眺墨賞 表彰盾

第34回となる2019年8月の受賞は合同会社TAKEOが販売するタガメサイダーです.タガメサイダーは2019年8月6日に発売が開始した,TAKEOの独自製法で抽出したタガメのエキスを含むドリンクです.

タガメサイダー ロゴ

このロゴの最も驚くべき特徴は,カタカナの「イ」の部分です!通常カタカナの「イ」は1画目の横画 (左払い) から2画目の縦画が続く形となりますが,このロゴにおいては縦画から横画が伸びるような形となっているのです.初州はこのようなデザインを初めて見ました.

特徴的な「イ」

下に掲載した動画は,ためしがきというサイトで複数のフリーフォントにおけるカタカナの「イ」のデザインを一覧してみたものです.どのフォントを見ても,縦画から横画が伸びるようなデザインは見当たりません.​​

いろいろな「イ」

もちろんこの動画に載っているフォントがこの世の全てのフォントでは全くありません.しかしタガメサイダーにおける「イ」のデザインが非常に意欲的で独創的なものであることは理解できるかと思います.

さて,初州はデイザイナーとして「タガメサイダーのロゴのデザイナーは,なぜこのような独創的なデザインを発想することができたのか?」を分析したいと考えました.そしてその発想の源泉を,ロゴ全体に課された「幾何学的な統一性という制約」に見出しました.

幾何学的に設計され個性的な印象を与えるこのロゴは,以前の第26回眺墨賞 LIFUL HOME’Sで紹介したのと同じように,正確な角度で揃えられているのです.具体的には,文字の水平線以外は全て60° (あるいは反対向きに120°) に傾斜しています.

60度に統一された角度

一方で,幾何学的統一性を重視したために,例えば「メ」の字には視覚補正 は行われていません.通常,多くのフォントではアルファベットの「X」のデザインなどでは交差線が厳密に同一直線状に乗らないデザインを採用しますが,このロゴの「メ」の字ではそうなっていないのです.下の画像は例として,Noto Sansの大文字のXの線が,視覚補正のために同一直線状にないことを示しています.

Xの視覚補正

このように図形的に単純であることを優先するデザイン手法を採用することで,タガメサイダーのロゴでは視覚補正などのテクニックを適用することを諦めています.しかしその見返りとして,独創的な「イ」のタイプフェイスを発明するに至っているのだと初州は想像しています.制約が発想の源泉となる事例として,大変興味深いロゴであると思います.

タガメサイダー | 昆虫食のTAKEO

商品としてもとても独創的 (「タガメエキス配合!」なんて他では聞いたことがないですね) ですので,新しい物が好きな方は試してみるといいかもしれませんね!初州自身は飲んだことはありませんが…笑

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